夢をあきらめても、人生は終わらない
―『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』を読んで―
「このままでいいのかな」
「昔思い描いていた夢と、今の自分が違いすぎる」
「やりたいことが分からなくなってしまった」
キャリアの相談をしていると、こんな気持ちを抱えている方にたくさん出会います。
今回読んだ『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』 は、そんな不安を抱える人の心を、そっと軽くしてくれる本でした。

人生は、思った通りには進まないもの
この本の土台になっている考え方に、「計画的偶発性理論」というものがあります。
難しい名前ですが、言っていることはとてもシンプルです。
人生やキャリアは、最初に立てた計画通りには進まない。
むしろ、思いがけない出来事が、あとから大切な意味を持つことが多い。
「だから、最初から完璧な答えを出そうとしなくていい」
そんなメッセージが、全体を通して伝わってきます。
ボールは、投げなければ入らない
この考え方を説明するときに、よく使われるたとえがあります。
バスケットボールは、投げなければゴールに入りません。
投げれば、外れることもあります。
でも、投げた人だけが「入るかもしれない」という可能性を持てます。
キャリアも同じです。
・やってみないと、向いているかは分からない
・選んだ道が正解かどうかは、あとからしか分からない
・でも、何もしなければ、何も変わらない
「失敗しない選択」を探すより、小さくても一歩動いてみることが大切だと、この理論は教えてくれます。
夢をあきらめることは、負けじゃない
この本のタイトルを見て、「夢をあきらめるなんて、寂しい話なのでは?」と思う人もいるかもしれません。
でも、ここで言う「夢をあきらめる」は、投げやりになることでも、逃げることでもありません。
今まで大事にしてきた夢を、いったん手放して、新しい可能性に目を向けてみること。
それは、人生をやり直すことではなく、人生を続けていくための選び直しなのだと思います。
「分からないまま」でも、大丈夫
「やりたいことが分からない」
「目標が持てない」
そんな状態を、ダメなことだと思っていませんか?
この本は、はっきりこう伝えてくれます。
・分からないままでもいい。
・迷っていてもいい。
・動きながら、少しずつ見つけていけばいい。
今のあなたが感じている迷いも、これからの人生につながる、大切な途中経過なのかもしれません。
キャリアに悩んでいるあなたへ
もし今、
・将来が見えなくて不安なとき
・夢が変わってしまった自分を責めているとき
・何から始めればいいか分からないとき
そんな気持ちを抱えているなら、この本は、そっと背中を押してくれると思います。
無理に答えを出さなくていい。
完璧な計画もいらない。
まずは、今できる一投を。
ボールを投げた先で、思いがけない景色に出会えるかもしれません。
国家資格キャリアコンサルタント
荒川 貴司






