最初に出会った背中(私の1社目の物語)
社会人になったばかりの頃、私には、ひとり強く憧れていた先輩がいました。
背が高くて、おしゃれで、仕事もできる。
主任という立場で、新社会人だった私に、いろいろなことを教えてくれた人です。
社会人としての心構え。
仕事への向き合い方。
スーツの着こなし、言葉遣い。
美味しいお店の話まで。
仕事だけでなく、「社会人としてどう振る舞うか」を、
一つひとつ、丁寧に教えてもらっていました。
私の1社目の仕事は、お金を貸したり、返済してもらったりする仕事でした。
正直に言えば、最初から好きな仕事だったわけではありません。
それでも、嫌いだったかと言われると、そうでもなかったように思います。
毎日、街頭でティッシュ配布がありました。
私は、どうすれば、相手の邪魔にならず、
足を止めずに、すんなりティッシュを受け取ってもらえるのか。
通行の妨げになっていないか。
どうせやるなら、誰よりも早く、
気持ちよく配り切るにはどうしたらいいのか。
声のかけ方や立ち位置を変えながら、
そんなことを考えて工夫する時間は、
意外と嫌いではありませんでした。
今思えばこの頃から、
「与えられた仕事を、どうすれば自分なりに気持ちよくできるか」を考える癖が、
少しずつ身についていた気がします。

街頭に立つ日も、電話で販売促進をする日も、
毎日は地味で、繰り返しの連続でした。
それでも、支店で一番になること。
主任になること。
そんな目標を自分で決めて、そこに向かって必死にやり続けていました。
毎月、毎月、目標はリセットされる。
頑張っても、またゼロからのスタート。
仕事に対して、どこか後ろめたさを感じていたのも、正直なところです。
それでも、同僚や上司に恵まれて、職場は不思議と居心地のいい場所でした。
与えられた作業を黙々とこなす日々。
気がつけば、私はその会社で、4年間働いていました。
そして、ひとつの区切りをつけることになります。

今、あらためて振り返ってみると、社会人として、何も知らなかったなと思います。
まぁ、そりゃそうなんですが…(笑)
会社に入ってから、誰と出会うか。
誰が上司になるか。
それは、自分では選べません。
だからこそ、社会に出て、
最初に出会う人は、本当に大事なのだと思います。
私にとって、それが、あの先輩(主任)でした。
細かい人でした。
決して甘くはなかった。
けれど、先輩から教えられたことの一つひとつが、
今の自分をつくっている。
そう感じることが、今でもあります。
これは、私の1社目の物語。
その後の選択につながっていく、静かだけれど、確かなスタート地点です。
私のキャリア(金融編)
国家資格キャリアコンサルタント
荒川 貴司





